1999年より脳卒中ケアユニットを開設し、徳島全県より脳卒中の患者さんを24時間体制で受け入れており、さらに2005年より脳卒中センターとして機能を高めています。
治療としては、開頭手術・血管外科、静脈内血栓溶解療法(t-PA)、急性期血栓回収療法(血行再建術)やコイル塞栓術などの血管内治療を行っており、最新の治療方法を積極的に取り入れ、良好な結果を得ています。
また、集中治療室に3:1の看護体制をとる脳卒中ケアユニット(9床)を確立し、より高度な脳卒中センターに拡充しました。当センターでは、専属のリハビリテーションスタッフによる早期リハビリを行っています。急性期治療が終了後には関連のリハビリテーション病院とスムーズに連携をとり、回復期リハビリが行えるように円滑な連携構築(地域連携パス)にも努めています。
現在、スマートフォンを利用した遠隔画像診断システムを導入し、迅速で正確な診断と治療を実践しています。
診療体制:
診療には脳神経外科医と神経内科医があたり、放射線科医、放射線技師の協力の下、最新の画像診断がいつでも行える体制にあります。内訳は、脳神経外科医15名(うち脳卒中学会専門医8名)、神経内科医5名(うち脳卒中学会専門医3名)、集中治療部医師2名です。
徳島大学脳卒中センターでは、脳血管内治療専門医 5名が24時間体制で最新のシステムを用いた急性期血栓回収治療を行っています。この治療は、発症4.5時間を経過したt-PA適応外あるいは、t-PAを投与しても改善が得られない脳主幹動脈閉塞の症例に効果的であり、脳梗塞発症後16時間以内に行うことができれば、後遺症を残さずに完全に回復できる可能性が以前より高くなっています。当センターでの血栓回収療法の件数は年々増加傾向であり、2018年度は40件でありました。
徳島大学脳卒中センターではCYBERDYNE社との協力により急性期リハビリテーションにロボットスーツHAL(hybrid assistive limb)を取り入れています。特に単関節型HALにおいては京都大学と福岡大学と協力の上、急性期脳卒中後の患者さんに対する臨床研究を進めています。
左:両下肢型HAL、右:単関節型HAL
「臨床医は多くの患者を救えるが、研究をするものはその結果次第で、その何千倍もの患者を救える可能性がある」(徳島大学脳神経外科 永廣信治 前教授のことば)
私たちは動物実験の倫理を遵守し、基礎研究を行っております。内容は多岐にわたりますが、以下代表的なものを示します。
1. Dystoniaモデルマウスの研究
ジストニアの原因として小脳が注目されています。ジストニアモデルマウスを作成し、その病態を研究しております。
2. Huntington病モデルマウスの研究
Q175ハンチントン病モデルマウスの免疫組織学的研究を行っております。機械学習を用いた線条体ストリオソームコンパートメントの同定や、機能異常の研究しております。マサチューセッツ工科大学 McGovern Institute of Brain Research, Graybiel研究室との共同研究です。
3. 6-OHDA片側パーキンソン病モデルマウスを用いたl-dopa誘発性ジスキネジアの研究
パーキンソン病モデルマウスを作成し、その機能的異常の研究を行っております。徳島大学薬学部神経病態薬理学講座 笠原研究室との共同研究です。
4. アデノウィルス (AAV)ベクターを用いた神経トレーシング研究およびオプトジェネティクスまたは脳深部刺激による機能解析研究
ストリオソームに関連する神経トレーシング、オプトジェネティクス研究等を行っております。マサチューセッツ工科大学McGovern Institute of Brain Research, Graybiel研究室、福島県立医科大学 生体機能研究部門 加藤先生との共同研究です。
1.徳島大学工学部知能情報学科 獅々堀研究室と、データベースを用いた機械学習研究やデータマイニングの研究を行っています。
2.ウェアラブルデバイスを用いた研究、脳深部刺激療法に関連した研究を行っています(一部、アメリカピッツバーグ大学との共同研究)。
3.フィールドスタディも行っております(フィリピンの研究者との共同研究)。
4.MRIやPETを用いたジストニア、パーキンソン病、振戦患者の画像研究(徳島大学放射線科、リハビリテーション科の研究者と共同研究)。
徳島大学脳神経外科
Department of Neurosurgery,
Tokushima University Graduate School of Biomedical Sciences
〒770-8503 徳島県徳島市蔵本町3-18-15