カリフォルニア大学サンフランシスコ校留学記

宮本 健志    

 私は20169月から20188月の予定で、徳島大学脳神経外科教室よりカリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)麻酔科橋本研究室に博士研究員として勤務しております。201310月に徳島大学大学院に入学し、脳動脈瘤の破裂機構について研究してきました。こちらでも脳動脈瘤を中心とした脳血管障害の研究を行っています。留学先の橋本友紀教授は、日本で医師免許を取得後に渡米し20年以上臨床と研究に従事しています。脳動脈瘤破裂マウスモデルを世界で初めて確立し、脳動脈瘤研究の分野では第一人者です。

 サンフランシスコは米国西海岸にあるアジア系住民の多い町で、気候は一年中涼しく過ごしやすいです。霧の中でも目立つ赤色のゴールデンゲートブリッジや坂道を登るケーブルカー、19世紀に建てられたビクトリア住宅と高層ビルが共存する街並みなどが有名で、観光地としても人気があります。また、近隣にはアップルやグーグル、フェイスブックの本社があり世界中から人々が集まります。その人気によって家賃が高騰し、2LDKで月平均4500ドル(約50万円)という全米一の家賃で、現在も上昇し続けています。私は大学寮に入居していますが、その家賃も毎年100ドル前後上がります。衣食については、ユニクロや日系スーパーが進出しているため、不自由がないのは幸いです。サンフランシスコの人々は親切で、拙い英語でも何とかコミュニケーションを取ってくれるので、日常生活にも大きな問題はありません。留学前は、生活や子供の小学校について不安なことはありましたが、現地の小学校に通う子供たちも毎日楽しそうに通学しています。サンフランシスコは米国で生活するには最高の環境だと思います。

 さて、現在の研究室を紹介します。私を含めて日本人の留学生4名と、UCSF脳神経外科医1名で、脳動脈瘤破裂マウスモデルを用いた動物実験をしています。大学院では指導者の下で与えられた課題について研究していましたが、こちらでは自分で研究課題を探さなければなりません。進める研究課題は将来の研究費獲得に繋がるため、毎週研究室で実験計画について討論します。その際に実現可能性の高い無難な計画を提示すると、「それは自分でエキサイティングだと思うのかい?」と橋本教授に指摘され、没になることもしばしばです。米国では、NIH等から配分される研究費によって研究責任者(PI)と研究員の人件費、実験器具、動物の飼育費を賄っています。PIが研究費を獲得出来なければ、その研究室は即潰れてしまいます。厳しい環境ですが、それが競争を生み、成果に繋がっているのだと実感しました。    

 留学をすることの意義は何か。臨床医にとっては不要だという意見も多いかもしれません。特に外科医は手術のブランクが出来てしまうデメリットもあります。しかしながら、私は留学してよかったと思います。自分が研究することで、少しでも医学の発展に寄与したいと思っているからです。米国の厳しい環境でトレーニングを行い、高い志を持った世界各国からの研究者と触れ合うことで、研究者としても人間的にも成長出来ました。この留学生活を今後の脳神経外科医としての仕事に役立て、社会に還元したいと思います。徳島大学の卒業生として出藍の誉れとなるべく頑張ります。

 最後になりましたが、この貴重な機会を頂きました永廣病院長を始め、北里先生、脳神経外科医局、徳島大学の皆様にお礼を申し上げます。